本日、神奈川県の桐蔭学園メモリアルアカデミウムで開催されている自動演奏楽器展Ⅱに行ってきました。中学から坂本龍一さんにのめり込んで以来、一時期シンセサイザーにハマり、シーケンサーやリズムマシンを駆使して”遊んでいた”自分にとって、自動演奏の起源に遭遇でき、久々にいい展示を見たなと思いました。(なんと、展示されている全ての楽器の演奏も行っていました。)
オランダ駐在時、街々で見かけたストリートオルガンは、今のコンピュータミュージック等自動演奏の走りです。このストリートオルガン、元をたどっていくと、教会のカリヨン(1381年頃~)であったのは驚きでした。欧州の街全てにと言っていいほど、教会が必ずあり、今もカリヨンが時間を伝えています。16世紀にゼンマイが発明され、これを使った機械時計技術が発展し、自動で時間を告げるようにカリヨンに機械時計を組み込もうと工夫する職人が出てきました。
その後、金属の筒(シリンダー)に差し込んだ金属のピンで、薄い鉄板を弾きメロディーを奏でるオルゴールがスイスで誕生します。これが、シリンダーオルゴール(1786年ごろ~)です。職人による手間と時間のかかるシリンダーオルゴールは、裕福の象徴として、貴族や大商人しか所有できなかったものですが、シリンダーの代わりに金属のディスクを使うディスクオルゴール(1885年ごろ~)がドイツで開発され、大量生産が可能になると、レストランやカフェ、駅等人が集まる場所にも置かれるようになりました。当時、有料でコインを投入すると音楽が聴けるようになっており、その1曲の相場がビール中ジョッキ1杯分であったとのこと。
ヨーロッパで発達したオルゴールは、1914年の第一次世界大戦の勃発で、職人達はアメリカに移住、その後の発展はアメリカに移りました。しかし、ほぼ同時期にエジソンが蓄音機を発明、全ての音源が記録・再生できるようになり、また続いてのジュークボックス、ラジオの登場で、だんだんオルゴールは斜陽化していきます。
しかし、職人達はあきらめません。音楽を記録し、再生するオルゴールの技術は他の楽器に応用されるようになりました。ハーモニカや木琴、太鼓、ベル、はたまたピアノまで自動的に演奏するオーケストリオンに代表されるような大掛かりな自動演奏装置に発展し、サーカスやフラワーパレード、公園などで今でも街の子供たちの人気者です。
メモリアルアカデミウムに展示されていた自動演奏オルガンがオランダキューケンホフ公園にあったものと似ており、また演奏された曲がチューリッペンアムステルダム(Tulipen Amsterdam)だったので、当時を思い出してしまいました。
有線放送がやかましいレストラン、バーがはびこっている中、こういった楽器が店内にあるところで、ヨーロッパビールを飲むのは、日本では難しいかな?
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